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リーダー的ブログ(*´∀`*)

世紀末リーダー伝たけし!の萌えを吐き出す場所です。 苦手な人は窓を閉じてお帰りください。
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悴む

トニーとマミーは仲が良い。
それはもうずっと前から分かっていたことだ。
トニーがファミリーに入っていたことは、まぎれもない事実だし、
マミーが優秀なトニーを気に入って、常に傍においていたことも知っている。

京介はその過去を憎らしく思いつつ、しかし心の底からそう思いきれずに、
それどころか僅かながらも、胸をなでおろすような安堵感や
マミーに対して、欠片も似合わない感謝というものを感じていた。
微小な切なさを含むそのトニーへの想いに、京介なりに結論は出していて、
目標は変わらずとも、以前のように深入りしてはいけない気がして、
胸の内は静かに熱を失っていった。

それを曖昧ながらに感じていた京介は、良好だとそっと胸に手を当てる。
現に目の前のマミーのしぐさや声を見聞きしても、変に頭に血が上らない。
以前なら、言葉にしがたい黒くてドロリとした感情がマミーに向いたままどうしようもなくて、
腹の中はぐっと押し下げられたように熱く苦しく、しかし頭はいやに冴えていた。
そして何かにつけてはイチャモンをつけ合い、口論に発展することが多かった。
今となっては、マミー自身への興味が湧いているぐらいで、素の状態からマミーという人間を
感じることができるようになっていた。
幸い馬場もボンチューもこの場にいるし、自らが口を開かずとも場の空気は保たれる。
(自分が発言したからと言って、場が盛り上がるわけでもないのだが)
京介は外からの情報を、素直に受け入れていくだけだった。
ファミレスの温かい空調とライトと、それに合わせて小さく流れる落ち着いた音楽。
湯気の上るカップの中をカチャカチャとかき回す本人と、その話の内容。

新しいデニムを買ったこと。
ついでにボタンにコートを見立ててやったこと。
ファーがたっぷり付いたものを勧めると、ボタンが泣きだしたこと。

ある日、喧嘩をふっかけてきた奴らをぼこぼこにしたこと。
逃げようとした奴はひっ捕まえて、完膚なきまでに叩きのめしたこと。
その時の機嫌の悪さはボンチューに負けたことが原因だったこと。

時折赤い髪をかき上げる姿は、とても大人びて見えた。
トニーとはまた違う、妖しい雰囲気を醸し出す。
ぼんやりと眺めていると、マミーの周りだけに揺らめく強いオーラが見える気がして、
理性と正義の塊だったようなトニーを絡め取ったものがそれだったのだと、いやでも分かった。
マミーとの視線が絡まれば、それを自ら解くのは不可能で、引き込まれてしまうような錯覚さえ感じる。
つくづく不思議な男なのだと。
こんな男だったからこそ、トニーはついていったのだと。

(…駄目だ。)

トニーは自分の目標であって、他人との比較をするための基準ではない。
ましてや、その相手とトニーのことを関連付けて考える必要はどこにもない。

トニーにとらわれたままの自分を感じて、京介は厳しく己を咤した。
瞳を閉じて、じっ下を向く京介にマミーは露骨に顔をしかめた。
自分が目をそらす前に京介にアイコンタクトを遮断されたのが気に食わなかったようで、
小さなテーブルをわざとらしくカツンと手入れの行き届いた爪で叩いた。

「そういえば、この間トニーがよー…」

京介の顔が上がる。
それがマミーを満たしたのか、ニッと口元は弧を描いた。
京介はトニーの中に完璧と理想の文字を見ている。
そんな京介に、トニーの天然なところを、更に面白おかしくふざけて伝えるとどうなるのだろう。
それは、いたずらに顔を出した好奇心からだった。

「…が…で…本当にトニーって馬鹿だよな~」

その一言に京介の片眉が不愉快そうに上がる。

「…そーいう言い方やめろ。好きじゃねぇ。」

「お?久々に口を開いたかと思ったらそんなこと言うか?空気読めよ。」

「…空気とかあってないようなもんだろ。」

何かを必死で抑えるように京介は額に手を当てた。
小さめの口から零れるのは随分ゆっくりとしたため息で、再びマミーの中で白けたような感情が湧き上がる。
京介の、何かを覆い隠すような態度に鈍い不満を覚える。
真正面からぶつかってこない輩は、マミーにとって徹底的に潰したくなる対象だった。
この時の京介だって例外ではなく、京介が被っているベールを引っぺがすのに躍起になっていた。
京介を突き動かすものは、トニーだということぐらい承知している。
トニーの名を連呼し、執拗にその相手との話をすれば、京介が食ってかかって来ると思っていた。
それをかわして掌の上で弄ぶのもいいし、応戦して遊んでやるのもいいと思っていた。

馬場やボンチューが二人を宥めに入ろうとする頃、京介は一発マミーの頬を叩いた。

乾いた音が空間に響く。
マミーの頬にはジワリとした痛みと熱が集中してきていた。
しかし、マミーはそれを歯牙にもかけず、目を丸くして京介を見た。

怒気を発してキュッと唇を噛む京介の、
それでも少しつつけば泣きだしてしまいそうな瞳に目が離せなかった。

「…やっぱりお前、嫌いだ…っ。」

絞り出すように京介は言った。
マミーをぶった掌はギュッと固く拳を作って震えていた。
そして京介はすばやくその場を立つと、一言『帰る。』と呟いて早足に出入口に向かった。
その時、タイミングよく、話題のリーダーが現れた。
京介は声をかけようとした笑顔のトニーに一瞥をくれて、その横をするりと通り過ぎた。

「京介?」

背中で聞いた、不思議そうなトニーの声が京介の頭の中に残る。
事情を聞いたトニーが追いかけて来るまでに、そう時間はかからなかった。





掴まれた手に鈍い痺れが走る。
冷えた手足を、いきなり湯船の中に突っ込んだような、じわりとしたそれに京介は眉間にしわを寄せた。
振り向けば、頭一個分上の視線に射抜かれて、冷えた風を突っ切っていた足は止まっていた。

「…んだよ、何こっち来てんだよ。」

「京介。」

「あそこに来たってことは、マミーに呼ばれてたんだろ?
なのに、何俺にかまってんだよ。そんなんだから、マミーにからかわれるんだぜ。」

言葉と一緒に吐き出した息は一瞬で凍って白くなり、冷たいあたりに溶けた。
自分で発した言葉なのに、こんなに胸を突き刺すのは何故だろう。
トニーは深くマミーと関わっていて、自分とはもうすっかり希薄になってしまっていることを
自分で認めているからだろうか。
しかし、それは京介自身が進んでそうなろうとしたことであって、
それに傷ついているなど矛盾もいいところだ。
幼稚な自分に嫌気がさす。
そうだ、自分はこんなにも幼い。
到底、トニーの隣で笑っていられる相手ではないのだ。

落ち着いてきていたはずのトニーへの想いが、ここで再び息を吹き返す。
じわじわと熱をもってきて、京介の胸をくすぐった。
吐き出せるはずもないのに、何と無駄な感情なのかと、京介は絶望さえ感じた。
ここで涙をこぼすのは浅ましくも醜い、京介はトニーの手を振り払おうと軽く上から下に動かした。
しかし、己の手首に絡みついたトニーの手ははがれない。
がっちりと、まるで離さないと言っているかのようなそれに、京介は大きく心臓を鳴らした。

「…トニー」

思えば、この時トニーの目を見てはいけなかったのだ。

「京介がいると言われたから…」

「え?」

「京介がいると言われたから、エプロンを取って、コートを着て、あそこに向かった。
……京介と、その…暫く、ゆっくり話す機会がなかったから……」

戸惑ったような、言うことをためらうような口調の割に、トニーの瞳は強かった。
京介は鼻の奥から目頭にかけて走る熱に、ぐっと唇を噛んで堪えた。

(どうしてこの人は、俺の欲しい言葉をくれるんだろう。)

ずるい人だ。
全く、本当に、ずるくて、やはり、愛しい人なのだ。

離れていこうとする自分の手を掴んで離さない上に、
それは自分の本心ではないはずだと無意識で説き伏せる。

視界がじわじわ滲んできて、それを我慢していると子供っぽい鼻から抜けた声が出た。
むーむー小さく唸る京介の頬を温かい掌で包んで、トニーは顔を近づける。

「ほら…こんなに冷えてしまって…。皆の所に戻ろうか?」

京介は何も答えなかった。
バンダナ越しにコツンとトニーの額があたり、冷えて感覚の無くなった京介の鼻に
己の高いそれをゆっくりと優しく擦りつける。
その間、トニーは京介の瞳から眼を逸らさなかった。
じっと見つめていた。

「…京介、寒いんだろう?鼻も頬も、冷たいよ。」

今京介には、トニーしか見えていない。
ならばと京介は、トニーの手の甲に悴んで赤くなった己の手を遠慮がちに重ねた。
力を込めていけば、つられてトニーの掌から与えられる圧力も熱も増えていく。
こんなに近くにいる。

それだけで幸せだった。

何度か京介が瞬きをしたら、そこからポトリと雫がこぼれた。
トニーはそれをそっと拭って、自分の口元に持っていった。

「大丈夫だよ。マミーももう怒っていないからね。」

随分的外れな事をいうトニーに、京介は小さく笑ってみせた。

期待をして、裏切られた時の恐ろしさは、考えただけで目がくらみそうになる。
それでも、自分はこの人に囚われたまま、逃げ出せずにもがくのだろう。
甘い痺れをもたらすトニーの掌の熱を感じながら、本望だ、と京介は思った。



おしまい!

********************************************************************
まとまらなかったトニ→←京文章。
お手手とあんよがちべたいよぅ。(;´д`)

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